ポーリングレート16kHz!?「MCHOSE Ace68 Turbo」使用レビュー

こんにちは!c1trusです。

今回は「MCHOSE Ace68 Turbo」を詳細にレビューしていきます。
スキャンレート256kHz、16kHzポーリングレートで、なんと珍しい16kHzポーリングレートを搭載した本機が一体どのような製品となっているのか、詳しく見ていきましょう。
※レビューにあたりHYPESHOP様よりご提供頂きました。
ハードウェア
ケース

デザインもカラーも良すぎる、好🧡


ケースはフルアルミとなっています。
カラーは5色展開でカラーによって塗装が異なります。
Orange/Pink/RedはPowder Coating、
WhiteはE-cotaing、ブラックのみAnodizedとなっています。

コーティング系はマットな質感で、アノダイズドは金属的な光沢感があります。コーテイングは少しアノダイズよりは剥がれやすいので、気持ち丁寧に扱いましょう!
アルミなのでチルトは固定。
チルト角度はもう少しだけあるとタイピング、ゲームどちらにおいても良かったかも。
ケース前方の高さが実測値17.8mmと低めなのがかなりいですね。
手首への負担が少なくフィーリングの向上につながります。

メディアキー・プロファイルスイッチ

左上にVol up/dowm, Muteのメディアキーが存在します。
横スクロールタイプでタイピングポジションからも近いので、
よくあるノブ式より個人的に好みです。
そして、オンボードのプロファイルを物理ボタンで切り替えるスイッチが存在します。

プロファイル切り替えの物理スイッチがあるモデルをはじめて使いましたが、ショートカットより楽です。インジケーターでどのプロファイルかもすぐ分かっていいですね!
ライティングバー

背面は前面ライティングバーとなっており、
自由に色やエフェクトを変更可能です。かっこいい。
構造
マウントはトレイマウント。
プレートにある数カ所のネジでマウントされています。



分解するときはPCBと直結のドーターボードが飛び出ている構造とサイドスイッチ用のJSTケーブルに気をつけましょう。
ケース底面にはPETシートがあります。高周波のノイズカットですね。

PCB底面に吸音用ボトムフォームがついています。こちらサイドで糊付けされているのでもしmodするのであれば注意。付けたままでもボードのネジは外せると思います。




PCBとプレートの間にはサンドイッチフォームで吸音と打鍵感の調整をしつつ、Fiber Swicth PadとPETシートでノイズカットと調音を行っています。プレートはアルミ。

トレイマウントのNo Foamは調整が難しいと思うので、個人的にはファクトリーのこの状態が良いように思います。

スタビライザーの精度は悪くなく、反応もストックとしては良いと思います。
ルブもしっかりされており、スタビライザー由来のノイズは感じません。
キーキャップ
実測値1.5mm厚のダブルショットPBTキーキャップを採用。
十分な厚さがあり、少しザラッとグリップ感がありつつ肌触りもよく、
標準キーキャップとしての品質は十分かと思います。
印字ハゲやテカリの心配も薄いですね。



キースイッチ
Mount Tai HE GTを採用。
| Mount Tai HE GT | |
| Initial Force | 35gf |
| Bottom Force | 47gf |
| Total Travel | 3.5mm |
| Stem | UPE & POM |
| Bottom Housing | PC |
| Top Housing | PC |
Mount Tai HE GT

荷重はゲーミングとしては一般的。
ボックスステムで3本のレールがあり、軸ブレは皆無ぐらいないため
精度検出の面で非常に優れています。

オールPCBハウジングにPOMとUPE混合ステムのため、
非常にカチカチとしたソリッドな高い音がします。音は大きめ。
ボトムアウトの音は高めですが濁りがなくクリアです。
トップアウトが非常に特徴的なチュンチュンした音があるので、
音は好き嫌いが分かれます。
一体型構造で分解できないためルブを追加することも不可能になります。

競技FPS向けの超精密で安定した精度面を意識した選択としては非常に正しいと思います。
トラベルの実測値は3.4mmとなります。

打鍵音、打鍵感

動画で確認していきましょう!
トレイマウントの弱点であるケース内の共鳴は抑えられていますね!
Mount Tai特有のトップアウトの共鳴はあるものの、ボトムはクリーンでクリスプ感を維持しながら、ケース共鳴もほぼ無く鳴っていています。
ボトム音は高めで明瞭、嫌味のないClacky加減で個人的には好みですが、
やはりトップアウトの癖は少々気になります。
PBTキーキャップで少し落ち着いてはいるので、好みの問題が大きいとは感じます。
軸ブレは無くタイトでフィーリングが良いです。
ただトレイマウント故の打鍵感の硬さは感じられ、
スペースバーはタイピング用途だと打ち疲れを感じます。
ラピッドトリガーの遅延、性能
Neon Testerで計測しています。
仕様上8kHzポーリングレートでの比較となりますのでご了承ください。
8kHzポーリングレートで、他ハイエンド製品の遅延と同程度から少し早い結果となっており、
計測結果でも優秀な値となっております。
16kHzに変更すれば2倍とまでは行かないと思いますが、
これよりも多少改善されると考えると最速クラスであろうと考えられますね。
| keyboard | keyup(ms) | keydown(ms) | |
| drunkdeer a75 ultra | 0.739 | 0.467 | |
| amisis sololeveling | 0.944 | 0.456 | |
| wooting 80 he taki | 0.468 | 0.461 | タキオンモード |
| tofix | 0.373 | 2.818 | MCUの問題でKey Downの計測バグ |
| melgeek real67 | 0.403 | 0.214 | |
| pcmk3 60 he | 7.82 | 0.238 | MCUの問題でKey Upが計測バグ |
| attack shark r85he | 0.36 | 0.848 | |
| drunkdeer x60 | 0.542 | 6.763 | 速いところは0.4msほど |
| ace68 | 0.313 | 0.622 |
実際の使用感としても、デッドゾーンなし/RT Smart・誤爆防止なしのRT0.005mm-0.01mm程度から実使用でも問題ないレベル感の安定性を感じます。
ソフトウェア
Webドライバーに対応しています。
ドライバー更新

まずはその他の設定からファームウェア、ドライバの更新が無いか必ず確認しておきましょう。

キーボード買ったらまずはコレ!
アップデートがあったらしておきましょうね。
プロファイル

オンボード設定は3つ。
ショートカットキーはないですが、物理キーですぐにプロファイルを切り替えられます。


Webドライバー上にオンボード設定以外は保存して、いつでもドラッグで入れ替えられます。
その他にも公式のプロファイルが用意されているので、こちらからカスタムするのもアリ!
トリガー設定
トリガー設定からラピッドトリガー関連の設定が可能です。

アクチュエーション・スイッチプロファイル・キャリブレーション

アクチュエーションポイントは「キーが反応するまでの距離=ラピッドトリガーが起動する距離」となります。0.1mm単位で設定でき、最小0.1mmとなります。
プレイしながらお好みで調整していただいて問題ありませんが、あまり短すぎると誤爆の可能性が高まります。
そして必ず使用前に「軸を選択」からスイッチを選択し、「較生開始」からキャリブレーションをしておきましょう。

スイッチはホットスワップ対応ですので、変更した際もキャリブレーションしておきましょう。
クイックトリガー
ラピッドトリガーの設定はこちらになります。

バーサークモードオフだと最短0.02mmで0.01mmステップ調整となります。
バーサークモードオンだと最短0.001mmで0.001mmステップ調整となります。
リセットとトリガーは個別に設定でき、「連打体験を最適化」をオンにすると所謂連続ラピッドトリガーがオンになります。
デッドゾーン設定からトップとボトムのデッドゾーンを変更可能で、
デッドゾーンを0にすることも可能です。

ラピッドトリガーの設定に必要なものは揃っており、
設定も明快でわかりやすく大変良いです。

日本語が直訳なので、英語のほうがもしかしたら分かりやすいかも?
性能設定

キーボードの全体設定のようなものですが、
ここにもゲーミング的に大事な設定があるので見ておきましょう。
ポーリングレート
8kHz or 16kHzを選んでおきましょう。

マウスと違って高ポーリングレートでも最近のPCならそこまで高負荷にはならないと思います。16kHzで使用してもFPSの定価は見られなかったです。
RT Smart/安定性モード
他製品で言うところのRT Stabや誤爆防止保護の設定になります。
設定をオンにすれば安定した動作が保証されますが、遅延は増加します。

好みだと思いますが、オフかつRTの設定を詰めても特に影響は感じなかったです。
アダプティブダイナミックキャリブレーション
自動キャリブレーションですね。
基本的にはオンで運用するのがいいと思います。
キーマッピング

基本的に縛りはほぼなく、ここからキーマッピングを変更することが可能です。
Win/Macが切り替えられ、Win用のFnレイヤーとMac用のFnレイヤーが用意されています。

Mod-Tapにマクロが入れられない、IME ON/OFFがないのは弱点ですが、Fnやシステムキーの縛りがなく自由なのはGoodポイント。
高度なキー
RS(RappySnappy),SOCD,Mod-Tap,トグル,DKSに対応。

Mod-Tap
1つのキーで短押しと長押しを利用して2つの機能を実現できる機能です。
ゲーミング用途ではShift短押しでアビリティ、長押しでダッシュなど色んなシーンで利用されています。
RS
深度優先と呼ばれる処理方法になります。
2つのキーを同時に押すとストロークが深い方のキーが優先されます。
SOCD(Snappy Tappy)
バインドされたキーが同時に押された時、どちらか一方のみを優先して入力を有効にする(最後入力優先 or 絶対優先)か、または両方とも無効にするか(ニュートラル)を設定できます。
こちらもカウンターストレイフに有効です。

Rappy Snaapyとの差は優先順位の決定方法にあります。
深度を利用するのか、入力順を利用するのかの差になります。
トグル
一度押せば押している状態が維持され、再度入力されると切れる機能です。

通常Shiftキーを押しながら走るのを、1回Shiftをタップすると押し続けなくても走りになり、再度Shift入力で歩きに戻せたりします。
DKS
1つのキーでキーストロークに応じて最大4つの機能を割り当てることが可能です。

インゲームでは浅め歩き、深め走りや、しゃがみ/伏せ、アビリティの使い分けなどを1つのキーの押し込み具合で調節したりできます。
ライティング

キーのバックライトと背面のライトバーのライティング、エフェクトが制御できます。

エフェクトの種類も多く、ゲーミングって感じの映えが狙えますねw
高ポーリングレートとスキャンレートについての見解

本機は16kHzの高ポーリングレートと256kHzというスキャンレートを持つ製品ですので、興味のある方向けに高ポーリングレートとスキャンレートについて考えてみましょう。
まずポーリングレート/スキャンレートとは?
ポーリングレートはキーボードがPCに対してデータを送る頻度です。
8kHzだと0.125ms、16kHzだと0.0625msに1回送信ということになります。
スキャンレートはキーボードのMCUがキーボードの押し込みの深さを読み取る頻度です。
256kHzだと0.0039msに1回読み取るということになります。
なぜ8/16kHzのポーリングレートに対してスキャンレートをオーバーサンプリングするのか?
ラピッドトリガーの判定を極限まで正確にするため、というのが主な答えです。
磁気スイッチではアナログな入力をデジタルな数値に変換します。
スキャンレートが上がるということは「グラフにプロットされる点が増える=より滑らかで正確なグラフが描画ができる」ということになります。
キーボードからPCにデータ送る(ポーリング)時に、
スキャンレートが高いとより直近に採取した情報を渡す事ができるので、
実質的に遅延が減ることとなります。
実用上の意味はある…?
人間の反応速度は150ms-200msと言われています。
実際FPSで銃弾が出るまでは人間の反応速度にプラスして、
デバイス、PC内部、モニター、ネットワークの遅延がプラスされます。
つまり全体として200-300ms程度の遅延が発生するわけですが、
その中のキーボードによる数msの効果は大きくないですし、意味も少ないです。

モニターのリフレッシュレート、ネットワークの遅延のほうがはるかに大きく費用対効果が大きいのもそのためです。
個人的には遅延に対する実用上の意味という方向で考えるよりは、
物理的にも精神的にも「デバイスのせいにできない環境をつくる」ために、
「プレイのことだけ考えればいい環境を作る」ために、
デバイスを極限まで高めておくという考え方がいいと思います。

保険の意味合いが強いと思います。
さいごに


今回はMCHOSE Ace68 Turboを詳細にレビューしました。
普段使いのタイピングのフィーリングも一定確保しながら、
ハイエンドたるゲーミング性能と安定性を持ち合わせていて、
プレビルド2万円台前半は非常に魅力的な製品です。
デザインや品質も高くまとめられていると感じます。
キーマッピング周りで少しの不便さはあるものの、
全体としての使用感は悪くないと思います。
16kHzの高ポーリングレートに大きな意味があるかと言われると、
イエスとは言えないですが、PCのパフォーマンスに影響がほぼないのであれば、
短いほうが良いのは事実です。
競技用FPSをプレイする方はこれを使えば、デバイスのせいにはできない。
そんな製品です。
では!
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