性能も打鍵音も進化!「Pulsar PCMK3 HE 60 ANSI」レビュー
はじめに

こんにちは、c1trusです。

今回はPulsarのラピッドトリガー対応磁気キーボード、
PCMK3 60 HE ANSIをレビューします。
0.1mmRT(0.01mm精度で調整可能)/SOCD/Mod-Tap/8kポーリングレートなどに対応した本機。
一体どのような製品なのか、詳しく見ていきます。
※レビューにあたりPulsar様から商品をご提供頂きました。
主な仕様
機能面について
Webドライバー対応
Webドライバーに対応しており、各種アップデートやキーボードの全設定、
プロファイル設定など様々な変更をする事が可能です。
日本語や英語にも対応しており、操作性も悪くはないですが、
分かりにくい部分もあるので、詳しく見ていきましょう。

BIBIMBAPうまそう…
設定

まずは各種アップデートの確認を必ずしましょう!
めんどくさくても必ず!!!トラブルのもとです。

設定のタブから各種アップデートが確認可能です。

そして磁気キーボードはキャリブレーションも必ず…!

STARTを押すとキャリブレーションが可能です。
方法も下に文章と動画がありますので、確認しながら進めましょう。
ポーリングレートの設定などもここなので、
特にこだわりなければ8kHzにしておきましょう。
パフォーマンス

ここでラピッドトリガーやAP/RP(アクチェーションポイント/リセットポイント)、スイッチの選択などが可能です。

このあと解説しますが、ちょっと設定がややこしいです。
アクチェーションポイント(AP)

「どこまで押し込むとキーが反応するか」と認識してください。キーが反応するまでの距離になり、浅ければ浅いほど当然キーの反応は早くなりますが、誤動作の元にもなりますので自分にあった設定を見つけましょう。
本機では「入力ポイント/Actuation Point」と書かれいるところが、APに該当します。
リセットポイント(RP)
「どこまで離すとキーが反応しなくなるか」と認識してください。キーが反応しなくなるまでの距離になり、浅ければ浅いほど当然キーの反応が早く切れます。
本機では…ラピッドトリガーOFF時RPの設定がありません。
おそらくAPとRPが同一、つまりメカニカルスイッチと同じ状態だと思われます。

これははじめてのパターン…ですが、
メカニカルと同じと考えば合点はいくかも。
RTモード
ここが本機のラピッドトリガーの設定となります。

ラピッドトリガー(RT)
「どれだけ離すとキーの反応がなくなるか」と認識してください。キーが反応しなくなるまでの距離になり、短ければ短いほどキーの入力が早く切れるので、VALORANTなどのストッピングが早くなり有利になります。
本機では、RTプレスとRTキーリリースで0.01mm単位に設定が可能となりますが、
ストックの状態では0.1mmRT推奨となっていますので注意です。
連続ラピッドトリガー
本機は連続ラピッドトリガーは実質存在しません。
何故かと言うと、「RT有効範囲開始位置がAPよりも上に設定することができない」ためです。
RT有効範囲開始位置を0.02mmにすると確かに機能的には近くなるのですが、APも0.01mmに限定されてしまいます。
デッドゾーン(RT有効範囲終了位置)
本機はデッドゾーンという設定項目はなく、
RT有効範囲終了位置が実質的なデッドゾーンと考えることができます。

デッドゾーンとは、「誤動作を防ぐために、AP/RTの反応しない区間」と認識してください。
初期では3.85mmで設定されているので、
実質0.15mmのデッドゾーン+RTのリリースポイントが入力の切れる値となります。
ホットスワップする場合はここの値に注意するとともに、
0.1mmなどのRTを利用する場合もRT有効範囲終了位置が意図した値か注意しましょう。

ちょっと分かりくいので、ふつうにデッドゾーンを設けたほうが良い気がします。
スイッチ設定

主要どころは抑えられている印象です。
ホットスワップする場合は設定を確認しましょう。
アップデートでプロファイルが増えることに期待です。

導線的にスイッチとキャリブレーションは同じページのほうが良かった気はします。
キーマップ

キーマッピングはこちらか変更可能です。
メインレイヤとFnレイヤ1つのみではありますが、
- キーリマップに制限がなく、何でも割り当てられる
- キーリマップできる種類が多い
- プロファイル切り替えなども設定可能
など利便性が高く好印象です。

プロファイルも3つあり、ゲーム2つとタイピング用などで十分便利だと思います!
欲を言えば、
- IME ON/OFFの実装
- プロファイル間の設定コピー
このあたりがあると何不自由なくなるので、
アップデートに期待したいところです。
拡張キー
DKS/トグル/Mod-Tap/QuickTap(Snap-Tap/Snappy Tappy)
などの設定は、この項目で可能です。

DKS(ダイナミックキーストローク)
1つのキーでキーストロークに応じて4つの機能を割り当てることが可能です。
浅め歩き、深め走りや、しゃがみ/伏せ、アビリティの使い分けなどを1つのキーの押し込み具合で調節できる機能なので、汎用性が考えられます。
Mod-Tap

1つのキーで短押しと長押しを利用して2つの機能を実現できる機能です。
タイピング用途では短押しに日本語と英語切り替えを、長押しにAltを割り当てたり、 ゲーミング用途ではShift短押しでアビリティ、長押しでダッシュなど色んなシーンで利用されています。
トグルキー(キーの切り替え)
一度押せば押している状態が維持され、再度入力されると切れる機能です。
通常Shiftキーを押しながら走るのを、1回Shiftをタップすると押し続けなくても走りになり、再度Shift入力で歩きに戻せたりします。
QuickTap

SOCD機能の1つです。同時にキーが入力された際の処理方法を決定する機能です。
WootingのSnappy Tappyと似たような理解で良く、
最後優先入力とニュートラルが選べます。
その他機能
ライティング

色相のタブから設定が可能です。
エフェクト、色、明るさ、プロファイル識別のカラーなどを設定することが可能です。
マクロ

こちらでマクロを設定してキーボードに割り当てることが可能です。
ハードウェア面について
キーキャップ


PBTダブルショットで、表面はさらっとした手触りかつ滑りすぎないので、
長時間の使用でも問題ありません。
厚さは1.6mmあり、ストックとしてはクオリティ十分です。
キースイッチ

Gateron共同開発のPulsar x Gateron Magnetic Switch採用。
| Pulsar x Gateron Magnetic Switch | |
|---|---|
| Type | Linear |
| Total Travel | 4.0±0.3mm |
| Initail Force | 30±7gf |
| End Force | 50±10gf |
素材等の情報がないのですが、音としてはWootingのLekker/Magnetic Whiteに近いので、
ボトムハウジングPA66(もしくはNylon系)、トップハウジングPC、ステムPOMだと思います。

フルトラベル4.0mmという点もLekker/Whiteに近いですね。


ステムは標準~短め、スプリングも標準ぐらいですね。
ステムに少量ルブされています。
Dual-rail構造で軸ブレはJade Pro程度かなという感じです。


ボトムに少しルブの跡があります。
筐体

トレイマウント構造で、プレートが外に出るフローティングの構造となっています。
PCBの上下を覆うように3層の吸音がなされており、
ケースフォームに分厚いシリコン層があることで、
ケース自体の共鳴はほぼないです。
ただ場所によって部品が干渉し、
音が異なる部分があるのは少々気になる点。
打鍵音・打鍵感

動画をまずご覧ください!
打鍵感はスイッチのお陰で、柔らかめであまり硬さは感じません。フローティング構造なのでもう少し硬くて打ち疲れするかと思いましたが良好です。
打鍵音も筐体の反響などは上手く制御されていて整っている感じで良好。
スタビライザー等のmodは完璧ではないすが、精度は悪くないです。
金属音がたまにするのでルブを足してあげると良いかもしれません。
スイッチのボトムアウトはGateronらしい豊かな音がして非常に好みです。
気になるポイントは、
- アルファの場所によってサウンドプロファイルが異なるとこがある
- スイッチのトップアウトと一部個体のスプリングノイズが気になる
かなと思います。

スイッチをルブするかホットスワップすると良いかも。
ボトムの音はすごく良いです。
ラピッドトリガーの精度/遅延
遅延
SwagkeysのNeon Testerにて遅延計測しています。
1ラウンド10回計測を10ラウンドなので、100回の押下平均となります。
上がPCMK3の最小設定、下がWooting80HEの最小設定(タキオンモード)となります。
PCMK3のリリースが何故か正しく計測できていないので、押下で比較しますが
Wooting 80HEの8kHzタキオンの約半分程度の遅延ということになります。

遅延はかなり少ない方ですね!!


精度
ストック状態では、製品仕様記載通りRT0.1mmで安定してきます。
0.01mm等の設定が可能ですが、スイッチの変更が必要なのと、
製品仕様外であるという点には注意が必要です。

あくまで0.01mm単位のステップで調整が可能ということです。
さいごに

今回は、Pulsar PCMK3 60HEをレビューしました!

打鍵感や打鍵音はストックでもPCMK2より改善されており、
ゲーム用としては十分です。
内部構造やソフトウェア周りで見直すべき点はあるように感じますが、
遅延も少なくスイッチの変更で高精度なRTに対応できるのは非常に良いです。
デザインもシンプルで、Y2K感もあってかっこいいです。
また60%の高精度、低遅延な磁気キーボードで、
ANSIだけではなく貴重な日本語配列も存在する点が大きいですね。
では!

